2009年 08月 09日
プーライエのこと。 |
言わずもがなプーライエは、この家のオーナーであり設計者である建築家・鯨井勇さんのデヴュー作。
ほぼセルフビルドな労作です。住宅設計に携わる者なら必ずや気にとめた建築に違いありません。
学生時代「都市住宅」誌のバックナンバーで見て釘付けになったのを思い出します。あれから30年目にして初対面です。竣工は1968年といいますから、もう40年の暮らし向きを育んできたことになります。
通常、ひな壇造成地の場合、その平場に家を建てるが相場です。ところがプーライエは違いました。
なんと擁壁の法の部分と平場に上がる階段を、室内に間取りしてのサプライズを成し遂げました。
結果、本来建てられるはずだった平場は広く残り、家庭菜園と、後にアトリエ棟をゆったり設えるゆとりの余白を生むことになりました。擁壁と建築がこんなにマッチする風景に感心しながら誌面の写真に吸い込まれたのです。そして初体験する暮らし向き建築の内部空間。アッカン!!僕のしがない想像力など一蹴です。
容積の間取り方にただただ感動!呆然となりました。と同時に、尺度的判断・・・嗚呼こういうことだったのかあ?これで良かったんだあと唸り通しの自分がいましたね。そんなプーライエ探索に飽きない僕らをよそに、とにかく家事によく動き回る鯨井さんがいます。蕎麦打ち名人でも知られる鯨井さん。各地から集めたそば粉5種類?それぞれの特質をきっちり出した食感、これもたまりませんでした。鯨井さんを祝う会が、鯨井さんからおもてなし受ける会のようでなんか恐縮しきりでした。参加者皆さんでの記念写真。主催のJIA住宅再生部会の皆さんはじめ、渡辺真理、木下庸子御夫妻や僕の意中の建築家、日影良孝さんとも初対面。おやおや白井原太(白井晟一さんのお孫さん)さんもいらっしゃいます。いやいや、いい会合に参加させていただき大変有意義な一日でした。改めましてプーライエJIA25年賞受賞おめでとうございます。
ちなみにプーライエとは鯨井さんの奥様が名付け親。フランス語で鳥(鶏)小屋だそうです。
by k-seno
| 2009-08-09 00:54