2006年 07月 26日
伊那谷の「せがいや」プレオープンハウス。 |
農的「新」民家づくりを考える。
南信州伊那谷に、こんなこと考えつくった住宅建築。今週末29日(土)いよいよお披露目いたします。先日の豪雨ですっかり埃を洗い落とし、気持ちよく皆様のお越しをお待ちいたします。どうぞお誘い合わせの上お出掛けください。詳細はメールなどでご一報ください。別紙ご案内いたします。ではその想いをちょっとコムズカシく「セノのセブログ」いたします。
30年ぶりに会った友人に、家の建て替え相談を受けてから3年。
ここ伊那谷にもひとつ、我々言うところの「農的民家」住宅が竣工した。全ての家づくりに「農的」要素を採り入れようとずっと拘ってきた。それは、農業や農村暮らしの推奨ということではない。「農的民家」は、都市であれ山村であれ、その地域の環境的特性を住まいのエネルギーとして有効活用すべく、住宅建築の基本思想と捉えてのこと。つまり、自然環境と社会環境の調和的按排をいかに建築化できるかの設計的取り組みを意味する。従って、全てのプランニングはこれら環境との持続的共生を図る仕組み創りと言っても過言ではない。
一方、家の姿形づくりに於いて、その地域性を活かした取り組み云々などはもはや存在しない。いかななる環境下にあっても、閉ざしてのみ得られる住まいの快適性を選択してしまった私達の暮らし向きがそれを裏付けよう。そのための合理的デザインは、間戸や軒先、更には縁側などには何の価値観を見出せず、閉鎖的間取りの姿形づくりが国民的常識となった。そのおまじない的共通言語は「高気密高断熱」!この温熱環境づくりの矛盾がしかし、市民権を獲得してしまっているのだから仕方がない。寒冷地、温暖地共にこの取り組みに余念がない。結果、建築の姿形に地域の特質などなんら関連付けする必要がない技術社会が現状。
自然からの空気的影響を閉ざす技術開発か。あるいはかつての暮らしを範に、更なる活用法を現代技術に見出すか。我々「点」的活動体の選択はもちろん後者。その上で環境特性からの「用」を建築的回答として各地にその姿形を植えていきたいと考えている。ことこの地にあって、かつての家づくりは、言わずもがな素晴しい民藝的民家造りの本場であった。少ないながらも、どんな現代技術、もちろんデザイン技術を含めもっても到底叶わない、暮らしの「用」がもたらした民家民藝の存在もしっかり脳裏に焼き付けたい。その上で現代の暮らし向きにも機能的有効性を図るべく設計態度が肝要と心得たい。幸い、家業に農が伴っていた友人宅。耕してのみ得られる様々な土からの食材。
このありがたき慶びを食卓に囲み語らう家族である。陽、風、水、そして土。家族皆体に染みてる自然環境。同時に、閉じてはできない様々な社会交流。こんな家庭環境における新たな家普請。どう間違っても、季節感のない室内空気の温冷のみ優先の囲い造りには踏み込めない。開けたり閉じたり、外気に対して社会に対して。断熱気密は限りなく高くして、その上で、家中縁側になるべく開け放てる間戸を設えたい。この矛盾的按排もまた、この地の環境特性から教わったこと。農的「新」民家づくりの役割は、自然環境と社会環境の良好なる按排を持続させる媒体にならないといけない。
瀬野和広
南信州伊那谷に、こんなこと考えつくった住宅建築。今週末29日(土)いよいよお披露目いたします。先日の豪雨ですっかり埃を洗い落とし、気持ちよく皆様のお越しをお待ちいたします。どうぞお誘い合わせの上お出掛けください。詳細はメールなどでご一報ください。別紙ご案内いたします。ではその想いをちょっとコムズカシく「セノのセブログ」いたします。
30年ぶりに会った友人に、家の建て替え相談を受けてから3年。
ここ伊那谷にもひとつ、我々言うところの「農的民家」住宅が竣工した。全ての家づくりに「農的」要素を採り入れようとずっと拘ってきた。それは、農業や農村暮らしの推奨ということではない。「農的民家」は、都市であれ山村であれ、その地域の環境的特性を住まいのエネルギーとして有効活用すべく、住宅建築の基本思想と捉えてのこと。つまり、自然環境と社会環境の調和的按排をいかに建築化できるかの設計的取り組みを意味する。従って、全てのプランニングはこれら環境との持続的共生を図る仕組み創りと言っても過言ではない。
自然からの空気的影響を閉ざす技術開発か。あるいはかつての暮らしを範に、更なる活用法を現代技術に見出すか。我々「点」的活動体の選択はもちろん後者。その上で環境特性からの「用」を建築的回答として各地にその姿形を植えていきたいと考えている。ことこの地にあって、かつての家づくりは、言わずもがな素晴しい民藝的民家造りの本場であった。少ないながらも、どんな現代技術、もちろんデザイン技術を含めもっても到底叶わない、暮らしの「用」がもたらした民家民藝の存在もしっかり脳裏に焼き付けたい。その上で現代の暮らし向きにも機能的有効性を図るべく設計態度が肝要と心得たい。幸い、家業に農が伴っていた友人宅。耕してのみ得られる様々な土からの食材。
このありがたき慶びを食卓に囲み語らう家族である。陽、風、水、そして土。家族皆体に染みてる自然環境。同時に、閉じてはできない様々な社会交流。こんな家庭環境における新たな家普請。どう間違っても、季節感のない室内空気の温冷のみ優先の囲い造りには踏み込めない。開けたり閉じたり、外気に対して社会に対して。断熱気密は限りなく高くして、その上で、家中縁側になるべく開け放てる間戸を設えたい。この矛盾的按排もまた、この地の環境特性から教わったこと。農的「新」民家づくりの役割は、自然環境と社会環境の良好なる按排を持続させる媒体にならないといけない。
瀬野和広
by k-seno
| 2006-07-26 00:57